神戸大学石川研究室

             

What's New?
・2024/2/17 旧時間割を削除。新年度時間割を修正(大学院の科目内容の変更)
・2024/1/19 新年度時間割を修正

 

 時間割


■2024年度の時間割案(2/17現在
前期(Q1-2) 後期(Q3-4)                                                                       
月1 [D] 言語対照応用論特別演習Ⅰ(言語学全般)
月2  AEC-A (B16)
月3  AEC-A(S42)
月4  AEC-A(Z62)
水2 [M] 外国語教育内容論演習2(コーパス言語学)     
水3  AEC-A (T51)
金1-2 [MD] 研究指導演習Ⅲ/Ⅰ
 ※関西大D「コーパス言語学」(夏季集中)
 ※神戸市外大「構文研究」(夏季集中)
月2 [M]外国語教育内容論特殊講義2(応用言語学)
月3 AEC-B (S39)
月4 AEC-B (T57)
水2 [D] 外国語教育内容論特別演習2(研究指導)
水3 AEC-B(L3)
水4 AEC-B (MM33)
金1-2 [MD] 研究指導演習Ⅳ/Ⅱ
※AEC:Academic English Communication


 神戸大学 Academic English Communication(石川)授業紹介

授業紹介

「Academic English Communication」(担当:石川慎一郎)の授業紹介 
最終更新日:2022/04/01

●この授業のねらい
この授業では,4つの理論的枠組み(ELF, CLIL, DAL, CL)に立脚しつつ,将来の研究やビジネスで必要となる学術英語(アカデミックイングリッシュ)の基礎力の涵養を目指します。授業では,学術英語の聴解・発話能力を向上させると同時に,世界の中での英語の位置づけに対する理解や,世界の諸問題に 対する基礎知的知識,さらにはグローバル社会で必要となる多元的思考・批判的思考の養成を主たる目標に置きます。

●授業を支える応用言語学の4つの理念
◎ELF(English as a Lingua Franca)
世界の英語話者のうち,母語話者はわずか1/4と言われています。こうした状況の中,日本人はどんな英語を目指すべきなのでしょうか?この部分がはっきりしていないと,授業を通して目指そうとするゴールがあいまいになります。そこで,この 授業では,目指すべき英語を,母語を異にする英語非母語話者同士が国際コミュニケーションの目的で使用する英語,つまり,「English as a Lingua Franca(ELF)」と定義します。授業では,内外の研究者による論文を購読し,ELFの理念をクラス全体で共有しつつ,教員と学生諸君が対等なELF Userとして「ELFの実践の場」としての授業に参画します。

◎CLIL (Content & Language Integrated Learning)
英語の指導では,ともすれば英語の訓練が先に立ち,教材の内容についてはおざなりな扱いになってしまうことがあります。これに対し,本授業では「世界の諸問題」を授業の一貫した中核テーマとし,すべての言語タスクをテーマと関連付けることで,内容と言語 を一体化して指導の対象とします。後述するように指導に使用する言語はすべて英語となりますので(English as a Medium of Instruction:EMI),英語は自然に背景化され,内容が前景化されます。これにより,内容と言語のバランスが適正化されるよう配慮されています。

◎DAL(Deep Active Learning)
大学で英語を学ぶことには様々な意味がありますが,最も重要なことは,異言語の学びを通して世界の様々な価値観に触れ, 健全な多元的・批判的思考を涵養することだと言えるでしょう。近年の国際情勢にも顕著にみられる通り,グローバル化は, 価値観の統合だけでなく,価値観の分化や衝突の激化をも意味します。そこでこの授業では,毎回,CNNやBBCなどの国際ニュースから世界の様々な問題を取り上げ,ディクテーションを行った後,教員の与えたテーマについて英語によるスピー チや討論を行います。その際,教員は,思考の多元化を促すため,あえてバリュージレンマ(価値観の衝突)を引き起こすようなテーマを積極的に取り上げるようにしています。たとえば,リサイクルの重要性を伝えるニュースであればリサイクルそのものが引き起こす環境被害について,CO2削減を訴えるニュースであれ ばCO2と温暖化の関係を否定する学説について, イスラムの女性抑圧を告発するニュースであればイスラム側の反論について注目するよう促します。学習者は,世界の諸問題の背後にある複雑な利益相反・価値対立を毎週自分自身でリサーチし,その結果をふまえて,自分の意見を選び取って(作り出して)発表することが求められます。学習者は自分自身の頭を使って問題を熟考することとなり,「深く対話的な学び」の機会が与えられます。

◎Cooperative Learning(CL)
ELFの実際の使用場面では,一人でタスクを行うことは稀です。ELFには,他者との協働という要素があらかじめ組み込まれていると考えるべきでしょう。この授業では,前述のモジュール制により,個人の学びだけでなく,ペアの単位での学び,さらには4人グループ単位での学びの機会が設けられます。たとえば,リスニングであれば,自分だけで聞き取れなかったところを他の人に尋ねたり,逆に自分が分かったことを他の人に教えたりして,グループ全体で理解の総量を増やしていくことも実践的な英語力の一部と言えます。グループワークではとくに難度の高い課題に挑戦します。これにより,Swim together or sing together(協力してなんとか一緒に泳ぎきるか,さもなくば一緒に沈む)という緊張感の中で協働の力を引き出すことを狙いにしています。

●90分の授業をタスクのモジュールで組み立てる
高校まで50分授業に慣れていた学生にとって,90分間,集中力を維持するのは容易ではありません。そこでこの授業では 「モジュール制」を採用し,90分間を以下のモジュールに分割して実施します。
Ⅰ:News Dictation(予習課題の英語ニュースの聞き取りテスト)【個人】
Ⅱ:Speech (ニュースの内容に関して事前に作成・練習したスピーチ発表と,1分間で行う即興スピーチ)【ペア】
Ⅲ:ELF Pronunciation (子音を中心としたELFの発音メカニズムに対する講義)【個人】
Ⅳ:Song Listening(英米の音楽の歌詞の聞き取り)【グループ】
Ⅴ:Short Reading(歌手・作曲家に関わる短文の読み取り)【グループ】
これら各回の授業テーマと関連しつつも,独立した学習単位となっており,モジュールごとに,異なるマテリアル,目的,活動,学習スタイル(個人vsペア vsグループ)になるよう工夫されています。

                   
   ペアでプリペアードスピーチ         その場で準備なしの即興トーク         指定グループで協働タスク活動

 授業アンケートでも,モジュール制によって,「90分が短く感じられる」,「眠くならない」といっ た コメントが多く得られています。モジュール化は,学生の意欲を維持するだけでなく,授業全体の質の向上にも寄与していま す。90分の授業を1つの大きな塊で設計しようとすると,どうしても,目的や方向性があいまいになりがちです。しか し,10~20分程度のモジュールであれば,教授者は,それぞれに固有の達成目標とそのための手法を厳密に設定することができます。また,モジュールごとに小さなテストや評価を行いますので,学生の能力を形成的に評価することも可能になります。

●詳しく知りたい方のために
 → 神戸大学FD講演会発表資料 石川慎一郎(2014)「批判思考トレーニングとしての大学英語教育―「英語オーラル」の授業実践―」はこちら
 → S. Ishikawa (2017) From Principle to Practice: Integration of the Principles of English as a Lingua Franca, Content and Language Integrated Learning, Deep Active Learning, and Cooperative Language Learning in the Design of Communicative English Language Teaching for Japanese College Students. JACET Chubu Journal, 15, 11-27. こちら



「Academic English Communication」(Ishikawa) シラバス(2022)

シラバス

●Focus in This Class
Students will discuss academic topics on various social issues, and will (1)understand the importance of collaborative research on a global scale, (2)acquire the ability to consider issues from multiple perspectives, and (3)develop academic English skills mainly focusing on listening and speaking.

●Common Goal
Upon completing this course, students should be able to:
(1) understand the importance of collaborative research on a global scale
(2) acquire the ability to consider issues from multiple perspectives
(3) develop academic English skills focusing mainly on listening and speaking

●Focus in This Class
The aim of this class is to develop the students' skill of academic communication by using authentic materials discussing varied issues in the modern-days world. Special foci are put on four guiding principles: ELF (English as a lingua franca), CLIL (content and language integrated learning), DAL (deep active learning), and CL (cooperative learning). Students are encouraged not only to develop their English skills but also to broaden their views and to acquire critical thinking skills.

●Learning Flow
This class usually includes the lesson modules such as
1) News Dictation
2) Speech
3) Lecture on ELF Pronunciation
4) Song Listening
5) Rapid Reading
The module may be slightly changed according to the class type.

●Grade
Final grade will be based on the average of the participation point and the term exam point.+Participation Point (/100):
Participation point is the sum of the scores in the dictation tests, speech tests, pronunciation tests, group works, and the assignments. In on-line classes, a slightly different rule will be applied. Students are required to send both of the preparation task and the review task before the deadline.
+Term Exam Point (/100):
Students have to take a term exam at the end of the quarter.
No points will be given to absentees. Personal score reports will be given to the students.

●Evaluation Policy
Your performances will be graded in relation to the course objectives above.

●Points and Grades
S: 90%+ in Points + Within the top 10% of the class
A: 80%+ in Points + Within the top 40% of the class
B: 70%+ in Points
C: 60%+ in Points

●Common Advice
Not only classroom activities but outside of the class involvement in English is crucial in this subject.

●Focus in This Class
Students need to 1) prepare for the dictation tests, 2) write transcripts for the prepared speeches, and 3) do the given assignments at home. In online-classes, students have to send the preparation task and the review task before the deadlines.

●Message
“If I have to lean against something, it should only be the back of my chair.”  (Noriko Ibaraki, Translation mine)



「Academic English Communication」(石川)評価概況

成績分布状況(過年度例)

◎English Communication 石川担当クラス成績分布概況(評価別の百分率)

         学期             学部       秀       優       良       可      不可
2018_Q1   農・営・工 4.0 30.2 39.7 23.8 2.4
2018_Q2   農・営・工 0.8 19 39.7 34.9 5.6
2018_Q3   農・営・法・工 0.0 3.7 41.1 50.5 4.7
2018_Q4   農・営・法・工 1.9 25.2 43.9 24.3 4.7
2019_Q1   済・人・理・工・海 0.0 21.9 45.3 27.4 5.5
2019_Q2   済・人・理・工・海 5.9 36.6 35.6 18.8 3
2019_Q3   農・営・法 0.0 30.7 37.7 30.7 0.9
2019_Q4   農・営・法 2.7 38.1 46.0 10.6 2.7
2020_Q1(遠隔)   営・人・法・文 7.0 33.1 50.3 8.3 1.3
2020_Q2(遠隔)   営・人・法・文 9.6 30.8 55.1 3.2 1.3
2020_Q3(遠隔)   営・理・海・済・医 0.0 20.6 48.3 23.1 8.1
2020_Q4(遠隔)   営・理・海・済・医 5.3 22.6 40.9 25.0 6.3
2021_Q1(遠隔)   法・営・済・国 0.0 30.9 52.6 12.2 4.4
2021_Q2(遠隔)   法・営・済・国 3.2 30.3 42.5 17.1 7.0
2021_Q3(遠隔)   営済・理・海・保・文 0.0 26.2 46.3 23.7 3.9
2021_Q4(遠隔)   営済・理・海・保・文 2.7 21.9 32.2 18.2 2.6
2022_Q1(Hyb)   法・営・済・国 1.9 24.7 51.9 16.5 5.1
2022_Q2(Hyb)   法・営・済・国 3.8 28.9 47.2 15.1 5.0
2022_Q3(Hyb)   営・理・海・保・文 1.1 30.7 46.4 19.6 2.2
2022_Q4(Hyb)   営・理・海・保・文 1.6 25.9 55.7 11.9 4.9

コメント
1)筆者担当の授業はほぼ同等の内容で実施されています(スコアは相互比較が可能です)。
2)スコアは形成的評価理念に基づく総合評価で,平常点(毎回の課題・授業内各種小テスト等の合計)と考査点の合計で決定されています。
3)例年,ボリュームゾーンはB(良)です。学部・年度により,B>A>Cとなる場合と,B>C>Aとなる場合があります。
4)神戸大ではS(秀)を90点以上,かつ,クラス上位10%以内に限定していますが,筆者担当クラスでは,該当者は0~5%程度になっています。
5)前期(Q1-2)と後期(Q3-4)を比較した場合,後期クラスは,外部試験成績上位者が抜けるため,一般的に低くなっています。
6)セメスター内で前半Qと後半Qを比較した場合,通例,授業への慣れなどもあり,後半Qのほうが成績が向上しています。
7)2020~2021年度は,すべて遠隔授業となりました。2021年度前期は,遠隔1期目ということで,事前課題・事後課題の一方が未提出の場合でも部分点を与えたため,最終成績が上振れしました。2021年度後期以降は,事前課題・事後課題の両方が完了してスコアをつけるという方針で統一しています。
8)2022~2023年度はハイブリッド形式の授業となっていますが扱う内容・進め方は同様です。


授業評価

研究室実施分:中間授業評価結果(学期の1/2終了時点で実施) 

注)研究室が独自に実施している無記名アンケートの結果です。
・学期の中間点(クオータ制導入以降は前半Qの7-8週目)に研究室で自主的に実施。
・回答はすべて無記名方式。
・満足度(10ポイント)に加え,授業の評価点・改善点についての具体的な記述回答を求める。
・結果は筆記コメント含め,すべて学生に開示する。
・2004~2009年度は紙で実施し,後で打ち込み。2010年度~はオンラインフォームを使用。

石川担当英語クラス 授業評価アンケート結果一覧
2004  2005  2006  2007  2008  2009  2010  2011  2012  2013 
2014  2015  2016  2017  2018  2019  2020  2021  2022 

年度別平均満足度の推移(下記は当該学期の担当全クラスの満足度(10点満点)の平均値)
※2011年度後期はデータが欠損(調査中)
※表彰は,神戸大学全学共通教育ベストティーチャー賞の受賞記記録。通算5回の受賞により,2019年度前期に特別表彰を受け,以後,同賞の選考対象外となる。

年度       前期       後期       表彰
2004年度            7.8              7.2 
2005年度 7.7  7.7 
2006年度 7.4  8.1 
2007年度 8.0  8.0 
2008年度 7.6  7.8 
2009年度 7.9  7.9 
2010年度 7.9  7.6 
2011年度 7.5   N/A
2012年度 7.8  7.3 
2013年度 7.8  7.5 
2014年度 7.8  8.0   前・後期 ベストティーチャー賞(1,2回目)
2015年度 8.0  7.9 
2016年度 8.4  8.0   前・後期 ベストティーチャー賞(3,4回目)
2017年度 8.1  7.2 
2018年度 8.8  8.0 
2019年度 8.8  8.0  前期 ベストティーチャー賞(5回目)
ベストティーチャー賞特別表彰(通算5回)
2020年度 (遠隔) 8.6          (遠隔) 7.7
2021年度 (遠隔) 8.2          (遠隔) 8.1
2022年度 (Hyb) 8.1          (Hyb) 8.0


台風等休講にかかる対応


■休講要件のチェック

神戸大(鶴甲)では,暴風/大雪/暴風雪警報の有無(※大雨警報はノーカウントです),JR等の運行の有無,避難勧告の有無の3点により,休講が決定します。下記はそれぞれのチェックサイトです(2018/9/30 update)。石川のクラスでは仮に1回欠席してもそれだけで不可になるようなことはありません。学生の皆さんはまずは自分自身の安全確保を優先して行動してください

1)神戸市警報情報
2)JR西日本(近畿)運行情報 ※このほか阪神・阪急の同時運休でも休講になりますが可能性としてはJR運休より低いと思われます
3)神戸市灘区避難勧告情報

研究ミッション

石川研究室は,記述言語学・応用言語学の理論的背景に基づき,L1やL2の慣習的言語運用パタンおよびその習得・学習プロセスを科 学的手法によって解明することを目指しています。

大学院生募集

石川研究室では,2016年度現在,博士後期課程2名,前期課程4名,合計6名が所属しています。コーパスに基づく科学的手法により, 日本語・英語・中国語などの言語研究・習得研究を志している皆さんの受験をお待ちしています。