工学系大学生用アカデミック単語リスト (ESP Word List)
工学系大学の学部学生(特に1-2年生)を対象に、工学系英語論文の読解能力の育成を目的とした語彙指導を行う場合、将来、どのような専門につこうとも、共通して必要とされる語彙から学習を始めることが合理的であると言えるでしょう。
石川研究室では、これまでに、「工学系大学の大学生が学習すべき語彙」の選定に関する研究を行ってきました。石川・小山(2007),Ishikawa
(2011)では、「レンジ」に着目したコーパス分析によって学習語彙を選定しています。
<レンジに着目した初級・中級語彙分析>
まず、機械工学や情報工学など、各分野における代表的なジャーナル―より、それぞれ論文コーパスを構築します。次に、それらのコーパスの重なり部分を特定します。さらに、そこから、すでに高校までに学習を終えている、基本的な語彙を削除します。最終的には、工学系論文に共通してあらわれる語彙でありながら、高校までに十分に学習を終えていないと思われる語彙を特定することができました。
語彙リスト作成概略図
石川・小山(2007)では、5分野にわたる工学系論文コーパスを使用して、工学系論文テキストの中核をなす、EGST 語彙リスト を作成しました。このリストから科学記号などを除いて、現在、「EGST語彙リスト1304 (ver.2)」を公開しています。石川・小山(2007)からの変更点は<こちら>をご覧ください。
Ishikawa (2011)では、さらに、コーパスを拡大し、7分野のコーパスを使用して、語彙の選定を行っています。このたび、Ishikawa (2011)で使用したEGST Word List (ver.3)の一部を中上級学習者用に辞書形式にまとめましたので、「EGST語彙学習用辞書」として公開します。
ここでの訳語は、工学系大学の学部生の語彙学習に使用することを第1の目的にしたものです。訳語選定は、工学系論文のコンコーダンスラインを見ながら行いました。学習がしやすいように、訳語は、できるだけ1語に絞っています。頻度を基準にしていますが、汎用性の高い訳語を選定している場合もあります。
<頻度に着目した上級語彙>
石川(2017)では、より汎用性の高い語彙表の作成を目指しました。工学の主要な8分野(機械・電気・土木・情報・化学・物理・建築・材料)を対象として、論文データを収集しています。Ishikawa
(2011)による中級語彙表の学習を終えた上級生や大学院生の使用に耐えうる語彙表の開発を目指しました。また、中学・高校の復習を行ないたい学習者のニーズにも応えられるものを目指しました。
それぞれのサブ・コーパスのサイズをそろえ、頻度重視の分析により、9000語を含む大型の語彙表が完成しました。詳細は、石川(2017)をご覧ください。
関連論文 石川(2017)
EVE 9000
工学系大学における語彙指導・語彙学習に活用していただけましたら幸いです。
石川有香(名古屋工業大学)
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